ー本記事は2018年10月25日に公開済みですー
青森を除く東北地方では、秋になると芋煮会が各地で行われます。
河川敷はブルーシートで青々とするみたいですよ、スー(@bacteria_suzu)です。
本日もお越しいただきありがとうございます。
地元を離れ都会に出ていった東北人も、芋の時期になると心がざわつくというから、
『芋煮』が東北人のDNAに深く刻み込まれている事は間違いないかもしれませんね。
そんな「芋煮」が、ふるさとの味というだけでは語れないほど多様化してきているという事はご存知でしょうか。
いつからそうなったのか、日本最大の芋煮フェスというお祭りでは、想像を絶する特注の直径6mの大鍋でショベルカーなどの専用重機を使って芋煮を煮立てているのです。
その風景はちょっと異様です。
そうまでして芋煮を特別扱いするスピリットとは何なんでしょうね。
確かに、私も初めて食べた時、何とも言えない美味さに驚きを隠せませんでしたが、
「芋煮」の詳しいことを実はほとんど知りませんでした。
今回は東北地方以外ではあまり話題にも昇らないかもしれない「芋煮」のことを詳しくまとめてみたいと思います。
そろそろ我が家でも芋煮が食卓に上がる時期ですしね。
【芋煮】ってどんなもの?
そもそも、芋煮芋煮といわれても、東北人以外の人には全く響かないかもしれないので、まずは『芋煮』というものを紐解いていきましょう。
イメージとしては、毎年里芋が取れる時期に、その里芋や地元の野菜、お肉などを大鍋で煮立てて、仲間や家族と一緒に河川敷で芋煮会をして堪能するという感じでしょうか。
だいたいその通りだと思いますが、なぜそういう文化・習慣が定着したのでしょうね。
芋煮会のための芋煮
芋煮といえば、【芋煮会】というくらい、芋煮は単なるご当地鍋ではなく、長い歴史を持つ「伝統文化」なのです。
出典:天童市観光物産協会
芋煮フェスティバルも有名ですよね。
大鍋で3万食分の芋煮を作るそうですよ。
これは日本最大の芋煮会と言えるでしょう。
また、毎年時期になるといろんなグループが大鍋を準備して、キャンプ場や河川敷で芋煮会を開催します。
それはもう地域ぐるみの総出で盛り上がる季節行事で、各地の地元スーパーでは無料で大鍋やバーベキューコンロ、かまどにおたまにゴザまで貸してくれたりします。
また、コンビニの店頭で薪や着火剤が普通に売られるところもあったり、人数に合わせた食材のセットも販売されます。
芋煮専用の調味料もあって、それさえあれば食材を煮るだけで簡単に美味しい芋煮になるんだとか。
秋風が吹きつける中、大きい鍋を囲んでみんなでハフハフ言いながら食べる芋煮の味が、東北人の遺伝子に代々組み込まれていったのかもしれませんね。
芋煮の歴史
芋煮は家で食べるというより、野外で大勢で大鍋を囲むという方がしっくりくるイメージかもしれないですね。
出典:wikipedia
そもそも、芋煮の発祥がその形態だったといいます。
当時の芋煮には肉食は一般的ではなく入っていなかったそうですが、野外で集団で鍋を囲む「収穫祭」的な意味合いで芋煮会の原型が行われていたようですね。
この鍋をかけた松は、「鍋掛松」と呼ばれ今でもきちんと保存され立派に立っているそうですよ。
棒ダラって美味しそう〜。
里芋の消費を促す芋煮
青森県に「芋煮会」がないのは、当時の里芋の栽培限界より北だったためであり、東海地方以西で行われないのは、里芋の保存が容易だったためであると考えられています。
なるほど〜ですね。
今でこそ多様化していますが、やはり習慣化して根付いているのには歴史や理由があるものですね。
芋煮のバリエーション
一言に東北といっても、その広範囲にわたって全く同じ鍋が食べられるという事はなく、地域による特徴的な具材や味付けが根付いています。
主に次の5パターンに分類されます。
⒈ 豚肉味噌味
これは「豚汁」ではないのか!?
そういうKYな疑問はお口チャックですよ。
たしかに、豚汁が先か芋煮が先か…、そんな疑問もよぎりますが、
私たちにとって当たり前の「豚汁」が実はこの「豚肉味噌味の芋煮」が起源だという説もありますから、あなどれません。
- 山形県庄内地方
- 宮城県仙台平野
- 福島県浜通り
主にこの地域で親しまれています。仙台地方では仙台味噌を使った独自の芋煮があり「仙台風芋煮」と呼ばれているそうです。
⒉ 牛肉しょう油味
この味が、全国的には”ザ・芋煮”と言っても過言ではないくらい定着しているのではないでしょうか。
豚肉のお汁はそこまで特別感がないですが、牛肉をお鍋にするところがちょっと非日常的な気がします。家庭でのお鍋でもすき焼き以外ではあまり牛肉は使わないですよね。
- 山形県村山地方
- 山形県置賜地方
などの、山形県の内陸部の味として知られています。
⒊ 鶏すき風
牛があって、豚があれば、当然鶏もあるか…。
しかし、これはあまりにも馴染みがない…。
それもそのはず、こちらの鶏すき風芋煮は主に岩手県の一部の地域でのみで味わわれてきたそうです。
秋田県の「きりたんぽ鍋」も鶏ガラスープを使った地鶏のお鍋ですから、それに近い味なのかもしれませんね。
⒋ 寄せ鍋風
寄せ鍋風・・・。
どうしても”ただの寄せ鍋”とは言えない、地元民の芋煮プライドがあるのでしょうか。
魚のみを入れたもの、魚・肉どちらも入れたもの、醤油味もあれば味噌味もある。
もともとの発祥の話でも出てきましたが、棒鱈を入れていた歴史があるので魚を入れるということはその名残りかもしれませんね。
しかし、これに里芋を入れるから「芋煮」と呼ぶならまだわかりますが、この「寄せ鍋風芋煮」に関して言えば、もはや里芋も入らないこともあるそうです。
三陸海岸で作られる鍋はジャガイモが主流だという噂が・・・。
あとは、山形県村山地方の朝日町というところでは、棒鱈を使った醤油味の芋煮が見られるそうです。
⒌ 豚肉しょう油味
豚肉味噌味の庄内地方と牛肉しょう油味の村山地方、
その両者に挟まれた位置にある最上地方では、双方の影響をきれいに受けた「豚肉醤油味」の芋煮が食べられています。
ここで素朴な疑問がわきませんか?
なぜ牛肉味噌味は存在しないのか?
不思議ですね。
牛肉しょう油味の隠し味に味噌を入れるというパターンはあるみたいですが、牛×味噌のタッグはあまりよろしくないのでしょうか。
今度やってみたいと思います。
福島県の中通りでもこの味が食べられているそうですが、最近では仙台味噌の流れがあり、味噌としょう油のブレンドが出てきたそうです。
⒍ 変わり種
最近では、トマト味、カレー味、締めはリゾットやうどんなどハイカラなものまで流行っているみたいです。
カレー味は、もともと芋煮の締めにカレールーを足してカレーうどんを作るという定番の食べ方があったみたいですが、近年では若者たちの芋煮集まりで、最初からカレー鍋にしてしまうことも少なくないのだとか。
これらを「芋煮」と呼べるのかどうかはさておき、大きなお鍋をみんなでつつくという習わしがここまでしっかり残っているということは素敵ですよね。
【芋煮】というコミュニケーションツール
ここまで多様化した「芋煮」ですが、もはや料理というよりは、地元民のコミュニケーションツールの一つであると言えますね。
芋煮を食べることが目的ではなく、とにかくその時期の旬な食材とお肉を大鍋にぶち込んで、煩わしい鍋作法などおかまいなしにグツグツ煮立て、秋空のもと気の合う仲間や初対面の者同士がハフハフ言いながら頬張る、そこに芋煮会の醍醐味があるような気がします。
これぞ、イモニケーション!
東北民にとっては欠かすことができない人と人を繋ぐ大事なツールなのです。
- 芋煮フェス
- 学校行事の芋煮遠足
- 結婚披露宴での芋煮ファーストバイト
など、もう「芋煮」の独り歩きが激しすぎて東北人以外はついていけないかもしれませんね。
しかし、芋煮とはそれだけ人を魅了するものであり、実際とても美味しいお鍋ということではないでしょうか。
まとめ
我が家もまだ本場で芋煮を食したことはないですが、山形県によく行くようになってから、いつか「芋煮フェスティバル」で芋煮を食べたいねと言っています。
あの圧倒的な大きさの鍋で作る芋煮は、それはそれで本来の味とは違うのでしょうか。
でも、きっと美味しいことでしょう。
肌寒くなってきたこの時期は、お鍋が登場する回数もぐんと多くなります。
芋煮に触れたことがない方や、知っているけど自分で作れる気がしない方、今年は「芋煮」にトライしてみてはいかがでしょうか。
我が家の簡単レシピは、誰でも作れて、ご家庭にあるもので味付けができます。
里芋と牛肉を買ってきて、今晩は「芋煮」といきましょう♪
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。